「ねえ~、スマ?」
「なあに、マイ?」
「コンコン君が引っ越したんだけど、しばらくしたら隣に工場ができちゃって、騒音で大変なんだって。」
「そうなんだ~、でも、ある程度なら近所に何が建つかを調べることもできるんだよ。」
「えっ、予知能力でもあるの!?」
「コンコン君の家は…ここだね。」
「えっと…この色は、『準工業地域』だ。」
「準工業地域?」
「主に環境悪化の恐れのない工場の利便を図る地域、だってさ。」
「そんなところに家を建てていいの?」
「用途地域には12種類あるんだけど、本当に工場しか建てられない『工業専用地域』を除けば、住宅はどこにでも建てられるんだよ。」
「12種類もあるんだ!?」
「3階建以下の家がメインになる『第一種低層住居専用地域』、それにちょっとした店も建てられる『第二種低層住居専用地域』、マンションがメインの『第一種中高層住居専用地域』、第一種に加えて事務所や店も建てられる『第二種中高層住居専用地域』、そしてホテルなども建てられるようになる『第一種住居地域』、カラオケボックスも建つ『第二種住居地域』、郊外のロードサイドに多い『準住居地域』。」
「一気に言われてもパニックになりそう……」
「だいたい、この順番で規制が緩くなっていくことがわかっていれば、そこまでややこしくはないよ。」
「でも、まだ7つだよね?」
「コンコン君のところみたいに、準工業地域で別なものができるのも困るけど、逆に第一種低層住居専用地域のど真ん中の住宅地だと、買い物できる店が近くになくて困る、なんてこともあるみたいだね。」
「この地図を見ていたら、用途地域の色以外に、縞模様がかかっているけど、これは何?」
「用途地域以外に規制がかかっていることもあるから、よく確認してね。」
街が無秩序に開発されて、土地利用が混乱するのを避けるために、行政で都市計画を策定して、この辺りはこんなふうな土地利用にするという制限として、用途地域を決めています。上に出てきたように12区分あって、住宅は工業専用地域以外ならどこにでも建てられますが、周辺環境は大きく異なってきます。
(参考資料)用途地域ごとの建築制限一覧