日本学生支援機構(JASSO)という国の機関が2012年に行った調査によりますと、大学への進学率は50%程度、そしてそのうちで自宅外からの通学者は4割ちょっととなっています。また、それを支える経済状況ですが、同じ集計では、大学生の収入のうち6割程度が「家庭からの支援」となっています。
そういうわけで、子供がいる家庭では、大学へ進学した時の負担についても検討しておく必要があります。
先ほどのデータによれば、首都圏で自宅通学している大学生の場合、平均して75分の通学時間がかかっています。大学の寮でも通学時間「2時間以上」というような制限を設けている例もありますように、一般にはその程度が限界と見られているようです。
ただし、遠くになっても、特急や新幹線で通学することで、意外と通学範囲は広くなります。たとえば、長野県の佐久市から東京都心の大学へ通うことも十分に可能です。新幹線定期券が高いと言っても一人暮らしの生活費と比較できる程度の値段ですし、新幹線通学なら行き帰りの時間に作業をすることも比較的容易です。また、違う地域に2つ拠点を持つことで、交友関係などのメリットが広まるという声もあります。とはいえ、朝や夜については新幹線の時間で行動が縛られるのは間違いないですし、バイトなどをする時間を作るのも困難かもしれません。
自宅から通うのが現実的ではない距離だったり、あるいは長距離の通学時間を掛けたくないというのであれば、親元を離れて暮らすということになります。そこで、一人暮らしをするにあたっての場所と一口に言っても、何通りか考えられます。
多くの大学には、寮が設けられています。当然ながら公式のものなので、敷地内にあるなど通学に便利なことも多いですし、周囲は同じ大学の学生だけですし、月額1000円に満たないところすら存在するなど、経済的負担としてはありがたいところです。ただし、数に限りがあるので通学距離や経済状況によって審査があることもありますし、老朽化したところや旧制高校時代からの遺風が残るところなど、良く言えば個性にあふれた寮もありますので、よく状況を把握して、入るかどうか検討する必要があります。
特定の県の出身者が入れる県人寮や、奨学財団が運営する寮など、奨学目的で設置された寮も存在しています。性質上、こういった寮は家賃も安く、また慣れない地域に引っ越すにあたって同郷の友人がいる強みなど、ありがたい面もあります。一方で、広く公募されているものではないので、なかなか入りづらい面もありますし、また近年のプライバシー重視の流れや寮の老朽化などというように、問題を抱えているところもあるとのことです。
「学生会館」といってもいくつか意味がありますが、ここでは「奨学目的というより、営利事業としての側面が強い学生向けの寮」という意味で触れます。食事や管理人の常駐などサービスは豊富で、初めての一人暮らしも安心・快適にできますが、その分費用はかかってきてしまいますし、門限が厳しいなど生活面でも規制があることもあります。
特に学生向けと謳っていないところでも、大学の近く、あるいは大学に通いやすい沿線であれば大学生の一人暮らしに適した物件は豊富に供給されていますので、自身の予算・条件に合わせて選択肢が多くあります。一方で、純粋に一人暮らしなので、トラブルや生活リズムの乱れには注意を払う必要があります。
あまりメジャーな形ではありませんが、シェアハウスに暮らす大学生もいます。家賃は人数で割れるので安上がりになりますが、よくも悪くも同居人と自身の行動次第、ということになります。