不動産取引の際にも、あとあとの近所づきあいでも問題となることのある「私道」、事前に備えておきましょう。
不動産を活用するには道路が必要ですが、その道路にも公道と私道があります。とりわけ、私道は取引の際だけでなく、その後にもトラブルの原因になることがあるので、いろいろと注意が必要です。
住宅などの建物を建てる場合、原則として敷地が幅4メートル以上の道路に2メートル以上面している必要があります。もちろん、公道に面した土地であれば特に問題はないのですが、そうでない場合には特別に許可を得る、あるいは適切な道路を作って、指定を受ける必要があります。後者のパターンで指定を受けた道路は「位置指定道路」といって、第三者が自由に通行できるようになる、変更や廃止がきわめて困難となるなど、公道に近い性質を帯びるようになります。
公道は公共機関(国あるいは市町村)が土地を所有していますが、私道の場合は、そうでない「誰か」が土地を保有しています。具体的には、私道と宅地が一筆の土地になっていて含まれる場合、私道に面する人全員で共有している場合、大規模開発などでは開発業者が持ったままになっている場合などがあります。
私道を通り過ぎるだけなら負担を求められることはまずないですが、状況によっては第三者の通行を禁止する場合もあります。さらに、私道に面した土地を買うとなると話はもっと複雑になります。土地を買う場合、上下水道やガスの工事で私道を通す場合など、他の所有者の許可が必要になり、承諾料を求められることがあります。あと、自動車を通らないことが前提となっているような私道の場合、奥に車を入れるとなればまた許可が必要となります。逆に、自分が私道の土地を持っていたとしても、(特に位置指定道路では)道路としての利用を防ぐようなことをしてはいけないなど、権利は大きく制約されますし、建蔽率や容積率も私道は除いて計算します。
私道は自ら管理しないといけないものですが、それが負担であり、また第三者も使うような道であれば、寄付して公道とすることもできる場合があります。とはいえ、私道も財産なので、ひとつながりになった道路の所有者全員で合意が必要になります。大規模開発などでは、開発業者が道路を寄付することで、最初から公道となっていることもあります。
執筆:マイスマ制作チーム