インテリアショップやグリーンショップの店先を彩る季節の寄せ植え、素敵ですよね。つい足を止めて眺めて、プライスカードを見てあきらめる・・・そんな経験はありませんか?
今回は、初心者でも上級者風の秋の寄せ植えにチャレンジしてみよう!というご提案です。アートな雰囲気の漂うこんなアレンジメントはいかがですか?
作り方も簡単。一時間ほどで出来上がり、植物や土、プランターなどまとめて購入しても市販の寄せ植えより20~30%も安上がり。おまけに世界で一つの自分だけの寄せ植えは愛着もひとしおですから、長く長~く丹精すること請け合いです!
コラムの最後には、おススメの秋の寄せ植えの花も、幾つかご紹介いたします!
《必須なもの》
プランター・土・植物
《あると便利なもの》
鉢底ネット(網戸を切ったものでもOK)スコップ・ジョウロ・園芸用手袋やエプロン・園芸用ハサミ
まずは、自宅のベランダにはどんなイメージの秋の寄せ植えが似合うか、サイズはどれくらいが丁度いいのか、リビングのソファに座ってみたり立ってみたり、ダイニングテーブルやキッチンからもバルコニーを眺めつつ、イメージを固めてみてください。
洗濯物を干すスペースや動線なども配慮しつつ、植木鉢の大きさや、寄せ植えの高さなども「アタリ」をつけてから買い物にでかけることで、後から「こんなサイズじゃ大きすぎた」or「貧相だった」などの失敗がありませんよ!
また、バルコニーのどこに置くのかも重要です。正面から眺めたいのか、多方向から見るのかによってアレンジメントの形が変わります。
絵の得意な方はササッとイメージを描いて持っていくのもいいですね!
イメージをラフに固めたら、さあ、お散歩がてらご自宅近くの植物店や、大型ホームセンターなどに出かけてみましょう。おススメの秋の寄せ植えの花が競い合うように並んでいますよ。
まずはプランターを選びましょう。少し小さめでも大丈夫。寄せ植えの場合は「このプランターにこんなにたくさん植えられるかな?」と思うほど多めの植物を組み合わせるのも、見栄えがよくなるコツです。
植物が色とりどりなので、プランターはシンプルで主張の控えめなものの方が、使いまわしもききますよ!テラコッタや白や黒の陶製のプランターなどが無難で、おススメです。ハンギングにする場合は、ヤシマットを敷いたハンギングバスケットが軽いしナチュラルなテイストなのでおススメです!
まずはプランターを選んだら、気になる植物を少し多めに選んで買い物かごに入れてみましょう。そして、会計前に、どこか広い場所で秋の寄せ植えの花を並べて、寄せ植えのレイアウトをしてみることが重要なポイントです!
多めにピックアップしておいた植物を実際に並べてみて、色や高さ関係をチェックします。配色や高さのバランスを検証します。単体で見て素敵な植物でも他の植物とのバランスが悪いものがあれば、ここでサヨナラです。カートから売り場へと戻しましょう!
ここで大事なのは主役と脇役を決めて並べること。背の順も大事です。「ハイ、あなたはセンター前田敦子(古い)」「背が高いから後ろに並んでね麻里子さま(古い)」などとAKBに見立てつつ?並べて置いてみると、こんな感じになります。並べただけで事前にイメージがつかめますね!
今回はリビングから寄せ植えの正面を眺めることを想定して、奥に背の高い植物を、中ほどには動きのある中サイズの植物を、手前下部には低い植物を選びました。
意外と大事なのが脇役たちで、「グランドカバー」と言われる、主につる性の植物も幾つか選んでおきましょう。控えめながらしっかり主張し、全体の雰囲気を左右しますよ。中~低サイズながら寄せ植えにオシャレな雰囲気を添える「性格俳優」なのがコロキア。独特な風情と独特な動きで一気に上級者風な雰囲気を醸し出します。
種類は高さのあるものを1~2種類、中サイズを3種類、隙間を埋める小サイズを3種類程度選ぶとよいでしょう。高さを出したい場合は、完成形がプランターの2倍程度になるようにするとバランス良くまとまります。
このように全体のイメージが固まったら、植物を寄せ植えのイメージ通りに並べてみて、スマホのカメラでパチリと撮影しておくと、いざ植え込みの際に慌てることがありませんよ。オススメ植物については最後に一気にご紹介しますね!
さて、植え込みです。その前にまずはプランターの底に鉢底ネットを入れて、その上に土を入れます。土は二種類用意するとよいでしょう。プランターが大きい場合、普通の土をたっぷり入れてしまうと、女性が持ち運びするのに不便ですよね?かといってあまり軽すぎると置場や寄せ植えの高さによってはひっくり返ってしまうかもしれません。
そこでおススメしたいのが土の2種使いです。まず重くならないよう、プランターの下半分だけ軽い土を入れます。今回は「ベラボン」という腐葉土を使いました。これは天然ヤシの実のスポンジ状遷移を特殊加工でフレーク状にしたものです。イチゴや野菜の栽培から洋ランまで幅広く利用されています。
培養土は手で圧縮しながら押し込んでいきます。かなり圧縮しても培養土の間には隙間があり、水ハケもよいので心配はありません。
ハンギングの場合は軽さ重視なので、ハンギング用ワイヤープランター+培養土でも大丈夫です
買ってきた植物たちは、バケツや新聞紙の上でポットから取り出して、余計な土を取り除きます。片手で植物を持ちながら、もう一方の手を根の周辺の土のあたりで縦に引っかくように動かしてほぐしてやると、土をかき落としやすくなります。ここで余分な土を落として、場合によっては根も少し間引いたり、株を分けたり剪定してボリュームを整えることによって、入りきらないと思う多めの植物が余裕でプランターに収まります。
高さのある植物から順に(正面から眺める場合は背の高い植物は一番奥に、四方から眺める場合は中心に植えます)、プランターに半分くらい入れた培養土の上に乗せて位置を決めて、上や横から普通の土を、植物の隙間を埋めるようにしながら入れ込みます。土は上から手指の腹で強めに圧縮し、地盤を固めていくようなイメージです。
葉の部分はギュウギュウ詰めに見えても、根の部分はある程度の間隔が空けるので、養分を奪い合うことはありません。
この時に気を付けるのが土の高さ。鉢から3~4cmほど低くなるように土を入れます。これは、底に入れている培養土の水分の含み方による伸縮を考慮して、水やりの時に溢れないようにするためです。
このように、店頭で撮影した画像を参考にしながら、少しずつ植えては全体を見まわすことを何度か繰り返します。AB2品種を絡めて、それを左右にする場合は、それぞれを1/2に割って、ABセットを左右に振り分けて植えるといいですよ。すべての植物を植え込んで最後のグランドカバーを隙間に植え込めば寄せ植えが完成します。
途中は、まるでフラワーアレンジメントや生け花のような感覚で枝の向きをアレンジしながら、事前に二つの植物を絡めて一体化してから植え込んだり、形を整えるために剪定したりしてから植えるなど、センスに任せて自由にレイアウトしてみましょう。いざプランターに植え込んでみると最初に置いてみたイメージとレイアウトが変わることもありますが、大まかに配色やサイズが整えば結果オーライです!少しワイルドなくらいの方がかっこいいですよ!
初心者を上級者風に見せるために一番重要なのが秋の寄せ植えの花や植物選びです。最後にアートな雰囲気の秋の寄せ植えにおススメの花や植物を、高さ別にご紹介いたします。
◆銅葉イネ「オリザdeショコラ」
・一年草(越冬は難しい)
・緑色とチョコレートがかった紫色のカラーリーフが特徴
・秋は稲の重さで垂れてくるので、寄せ植えに動きが出る。
・乾燥には強いが寒さに弱い。強い直射日光でどんどん色が濃くなります。
◆鷹の羽薄(ススキ)
・耐寒性宿根草(冬は地上部なし)
・葉に横じま(斑)入りで矢羽のように見えることから、このネーミング。
・通常50~80cm地植えすると1m近く育つ
・日当たりと水はけのよさが大事
◆パープルファウンテングラス
・一年草(越冬は難しい)
・葉は赤紫色が美しく、薄(ススキ)のよう。帆は猫じゃらしのよう。
・南国産のため寒さに弱く真冬は室内に入れるなど注意が必要
◆千日小坊
◆コロキア コトネアスター(またはコトネアステル)
・寄せ植えにオシャレな雰囲気を添える名脇役!
・ニュージーランド産だが半日陰でOK。冬にも強いので一年中の寄せ植えに大活躍!
・関東より西の地域なら屋外で越冬も可能です。
◆ミズヒキ
・茎に均等に赤い小花がつき、葉は黒い楕円の斑紋があり、ユニークな姿。
・茎はまっすぐ伸びるが、まばらに枝が分岐するので寄せ植えのアクセントになる
v古くから中国では薬草としても止血や腰痛胃痛などに効果があると言われてきた。
・名前の由来は進物用の「水引」から。
◆フジバカマ
・原産地は中国だが万葉の昔から日本人に親しまれてきた植物秋の七草の一つ。
・散房状に淡い紫紅色の小さな花をつける儚げな風情が魅力。花は桜餅のような甘い香りがする。
・観賞用の雑種は園芸店で売られているが、本種は絶滅危惧種として保護されている
◆クリスマスローズ・ヘレボラス
・原産地はヨーロッパから西アジア。秋から冬と緩衝期間が長い(正確にはガク部分が花に見える)
・9月下旬から10月に寄せ植えをし、良く根を張らせれば冬場にも長く楽しむことができる。
・真冬に「ためらわず」葉を全部切り落として株に日照を十分与えると花芽が上がりやすくなる。
◆アルテルナンテラ
・一年草だが初冬まで楽しむことができる
・日向から半日向で育てて、寒くなったら軒下や内側に移動
・葉の部分を花のように見立てて楽しむ。単体でハンギングにするのもいい。
◆ヒューケラ等カラーリーフプランツ
ユキノシタ科。北米産。花は春先から初夏に咲く。常緑性で、秋は紅葉を楽しむ。
・地植えだとグランドカバーにも向くが、色とりどりのヒューケラだけでアレンジしてもブーケのようになるので、寄せ植えやハンギングなど多用途。
◆リシマキア(ミッドナイトサン)
・つる性の耐寒性宿根草。草丈は10~15cm
・リシマキアの中でもミッドナイトサンは匍匐(ほふく)性が強く、グランドカバーとして最適。
・銅色~赤紫~濃い緑の渋い色が秋の寄せ植えの花たちのイメージをグッと辛口に引き締める。
◆フィッカスプミラ(サニーホワイト)
・常緑のつる性で匍匐性があります。
・明るい室内を好みますが、屋外でも使えます。耐陰性もあるので、直射日光を避けて半日陰が好ましい。
・斑入りでないものはもう少し緑色自体も濃く、寄せ植えが引き締まった印象になる
◆ヘンリーツタ
・ブドウ科ツタ属。ネーミングは葉に白く甘い樹液を付けることからシュガー(砂糖)バイン(つる)と名付けられた。
・葉が花のように五弁広がってとてもかわいらしく、単体でハンギングにするのもいい。
・葉の色もイキイキとしたグリーンなので寄せ植えの挿し色にもなる。珍しいが斑入りのものが入手できると、グッと華やかになり、秋の寄せ植えの花が必要ないほど。
◆グレコマ
・シソ科。あらゆる耐性に強いつる性の宿根草。
・プミラの大きい版といった風情の斑入りが特徴。
・茎が長く伸びて壁を這い上がる
他にもたくさんの秋の寄せ植えの花があります。形×色で上級者風になるので、最初の植物セレクトはとても大事です。華道のように「天・地・人」を意識して高さのバリエーションを持たせるのも初心者が上級者向けに見えるコツです。一部が枯れてきたらプランターからハンギングへと移し替えるなど、アレンジして長く楽しみましょう!
どうでしょう。絵心が沸いてきましたか?ぜひ秋の寄せ植えを試してみてください!
執筆:マイスマwoman's LABO 編集部
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