ウェーブスプリングは、平線を素材とし、1 巻あたり複数の波形またはコルゲーションを持つようにスパイラル状に巻回した圧縮ばねの一種であり、コンパクトな軸方向スペースで高精度な弾性力を発揮するよう設計されている。従来の丸線コイルばねとは異なり、ウェーブスプリングはより小さな高さで同等の荷重およびたわみ性能を実現し、ばね収容部のサイズと全体の組立寸法を削減する。これにより、航空宇宙、自動車、医療機器、産業機械など、スペースと重量の節約が重要となる用途に最適な部品となっている。
円周方向に沿った波形部分は、複数のばね要素として機能し、荷重が加わると圧縮されて滑らかで制御可能なたわみを生み出す。設計に応じて、ウェーブスプリングは単巻き型、多巻き型、入れ子型、または線形型に製造され、異なる荷重、たわみ、および空間要件に対応する。一般的な素材には、ステンレス鋼、炭素鋼、および高性能合金が含まれる。
市場の潮流:小型化・高精度化と軽量化の追求が促す成長
世界的なモノづくりの潮流 — エレクトロニクスの小型軽量化、自動車の電動化・燃費改善、医療機器の高機能化、産業機械の高効率化 — は、部品に対する “高性能かつコンパクト” な要求を高めている。このような要求に対し、ウェーブスプリングはまさに適合した部品である。従来の巻きコイルスプリングやベルヴィルスプリング(ディスクスプリング)が設計上の制約となった空間でも、ウェーブスプリングならば高さ・部品数・重量を抑えつつ必要な荷重/たわみ特性を確保できる。特に、ベアリングのプリロード調整、筐体内のクリアランス調整、振動対策、軽量化の観点から、自動車、ロボティクス、医療機器、航空宇宙、再生可能エネルギー(風力設備など)といった多様な最先端用途で導入が進んでいる。こうした汎用性と設計上の優位性は、ウェーブスプリングの採用を加速させ、市場全体の成長傾向を支えている。実際、最近の業界レポートは、こうした用途拡大と技術要求の高まりを主因として挙げている。
市場規模:着実な拡大、今後も堅調な成長見込み
調査会社 YH Research の最新レポート「グローバルウェーブスプリングのトップ会社の市場シェアおよびランキング 2026」によると、2026年から2032年までの期間で年平均成長率(CAGR)は 4.8% とされ、2032年までにグローバル市場規模は602百万米ドル に達すると予測されている。この数字は、設計のコンパクト化、高性能化のニーズが継続的に高まるなか、一過性ではなく中長期的に安定した需要を見込めるという根拠となる。また、同じくばね/圧縮スプリング市場の成長予測と比較しても、自動車用コイルスプリング市場が2023年の約35.2億ドルから2033年に向けて拡大が見込まれているとの報告もあり、この流れの中でウェーブスプリングがコイルスプリングにとって代わるポジションを確立しつつあることがうかがえる。さらに、台数・種類を問わない多様な業界での採用が進むため、単一用途に依存しない分散型需要構造が市場の安定性を支えている。
主要メーカー:グローバルな競争と寡占の現状
現在、グローバルにおいてウェーブスプリングの主要な製造者には、Smalley Steel Ring、Rotor Clip、KERN LIEBERS、Scherdel、Baumann Springs、Lesjöfors、Zhejiang Lisheng Spring、AESSEAL、Sunzo Spring、Borrelly Spring Washers などが挙げられている。特に、2024年時点で世界のトップ5企業(売上ベース)が約 46.0% の市場シェアを占めており、部分的に寡占が進んでいる状況である。なかでもSmalley Steel Ring は、平線材をエッジワインド(edge-wound)する独自技術により、工具(型)不要で多様サイズ・形状のウェーブスプリングを迅速に提供できる点で強みを持っている。一方、KERN LIEBERS はヨーロッパを拠点に、グローバル展開で成長を続けており、Scherdel、Baumann Springs、Lesjöfors なども、それぞれの地域で堅実に顧客基盤を拡大している。こうした複数の大型メーカーの存在が、市場全体の信頼性と供給安定性を支えている。
今後の展望:技術進化と用途拡大で次のフェーズへ
これからのウェーブスプリング市場は、さらに「高精度」「高強度」「特殊材料対応」「カスタム設計」の方向へ進むと考えられる。たとえば、自動車の電動化に伴う駆動系部品の軽量・コンパクト化、再生可能エネルギー設備の高効率化、医療機器の精密化・衛生規格準拠など、多様な用途で従来のコイルスプリングが果たしてきた役割を、ウェーブスプリングが代替するケースが増えるだろう。また、設計自由度の高さから、複数波形を重ねたネスト構造、あるいは異形クロスセクションや異素材の組み合わせなど、より複雑で高付加価値な部品設計も普及すると予測される。こうした技術進化に加え、供給側ではカスタム対応のスピード、在庫の充実、グローバル供給網の強化といったサービス面の充実が、今後の差別化ポイントとなり得る。結果として、用途の裾野はさらに広がり、医療、航空宇宙、ロボティクス、再生可能エネルギー、精密機器までを含む “高付加価値部品市場” に変貌する可能性が高い。
最新動向:ウェーブスプリング業界の“今”
2025年7月、Zhejiang Lispring は、ウェーブスプリング製造における検査工程で、CCD(画像認識)による自動選別機を導入したと発表した。これにより不良品の識別精度および検査効率が向上し、製造の安定性と納期短縮が期待されている。
2025年9月、Lesjöfors グループは創業から 350 年の節目を迎え、「精密スプリング、ワイヤー加工、プレス部品などを通じて世界を動かし続ける」という声明を発表。現在は 20 以上の国と地域に 50 超の拠点を持ち、風力発電、医療機器、産業機械、消費機器など幅広い分野に部品を供給しており、ウェーブスプリングを含む製品群の拡充と長期的な産業貢献を強調している。
2025年8月、KERN LIEBERS グループは2024/2025年度決算で、売上 €7.29 億(前年度 €7.67 億)と若干の減収を報告したものの、アジア市場、特にインドや中国での販売拡大により国際展開の強さを示した。さらに、2025年6月にはインド・プネーに新たな製造プラントを開設し、同地域におけるばね・ファスナー部品の供給能力を強化することで、コスト競争力と市場対応力の底上げを図っている。
本記事は、YH Researchが発行したレポート「グローバルウェーブスプリングのトップ会社の市場シェアおよびランキング 2026」 を紹介しています。
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https://www.yhresearch.co.jp/reports/1243758/wave-spring
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