とある日の昼下がり、マイ君がいよいよ念願のマイホームを購入したようです。 大きな買い物をして満足かと思いきや…少し様子がおかしいみたいです。
マイ「スマ、この前ついに念願のマイホームを購入したんだ!」
スマ「(自分が家みたいなもんなのに買う必要あるのかな)そうなんだ、おめでとう!…にしてはそんなに喜んでないね。どうかしたの?」
マイ「それが…買った物件自体には満足してるんだけど、実は不動産会社にボッタくられたんだ!!」
スマ「ボッタクリって…また物騒だね。何があったの?」
マイ「物件価格は4000万円って書いてあったのに、不動産会社に手数料として追加で136万円も取られたんだよ!酷い!」
スマ「マイ、それって“仲介手数料”じゃないの?」
マイ「ちゅうかいてすうりょう??」
スマ「それはボッタクリなんかじゃなくて、不動産会社の正当な権利、対価なんだよ」
マイ「そうなの?知らなかった…でも、何でそんな金額が必要になるの?家が売れたからそれでいいじゃない」
スマ「それはね、不動産会社の立ち位置が、売主と買主の間を取り持って仲介しているからなんだ」
スマ「マイが買った物件だけど、その物件って誰から買ったのかわかる?」
マイ「誰からって…不動産会社から買ったよ!物件は不動産会社の物じゃないの?」
スマ「うん、確かに不動産会社が“売主”の場合はそうだね。でも今回マイが買った物件は、売主が別にいて、不動産会社に家を売って欲しいってお願いしているんだよ」
マイ「じゃあ持ち主は不動産会社じゃないの?」
スマ「そう、図にするとこんな感じだね。仮に売主をコンコン君としよう」
スマ「つまり不動産会社は物件を売って欲しいと売主にお願いされて、マイにその物件を紹介したに過ぎないんだよ。つまり不動産会社からすれば、売主のコンコン君も買主のマイも両方ともお客さんなんだ」
マイ「そうなんだ…でも物件の持ち主が不動産会社じゃないんだったら、僕が払ったお金は不動産会社じゃなくて売主のコンコン君の方に入るんだよね?だったら不動産会社って商売にならないじゃない…あ、もしかして」
スマ「そう、その為に“仲介手数料”があるんだ。マイが買った物件のお金は売主のコンコン君に入り、仲介手数料が不動産会社に入るんだよ。」
マイ「そっか、じゃあ僕が仲介手数料を払わなかったら、不動産会社は利益が無いんだね」
スマ「仲介をメインとしている不動産会社はそれが収入源だからね。」
マイ「じゃあ僕の手数料で仲介の不動産会社は商売が成り立ってるんだ~」
スマ「うん、でも買主であるマイの手数料は、不動産会社の手数料収入の半分だね。不動産会社は、実際には”両手”分の手数料をもらう事になるんだ。」
マイ「両手分の手数料って何?もしかして指が10本だから、10人から手数料がもらえるの?凄い!」
スマ「いやいや!さすがにそんなに多くは貰えないよ。さっき売主のコンコン君も買主のマイも、両方とも不動産会社のお客さんだって言ったと思うけど、”両手”ってのは売主と買主の2人の事を言うんだ。ちなみに”片手”だとどちらか一方って事」
マイ「じゃあ、コンコン君も不動産会社に仲介手数料を払ったって事?」
スマ「通常はそうだね。そうならないケースもあるんだけど、それはまた後で説明しようかな。不動産会社はコンコン君から物件を売りたいと依頼されて、営業の結果その物件を無事にマイに売る事が出来たから、コンコン君はその報酬として仲介手数料を不動産会社に払うんだ」
マイ「そうなんだ。”両手に金”ってこの事だね!」
スマ「それは両手に花でしょ…。所でこの”仲介手数料”なんだけど、でたらめに不動産会社が設定している訳じゃないんだ。ちゃんと決まりに沿って計算されてるんだよ。次ではその計算方法についてみてみよう」
マイ「じゃあ僕が不動産会社に払った136万円の仲介手数料は、不動産会社が決めた金額じゃないってこと?」
スマ「最終的には不動産会社が決めた金額なんだけど、仲介手数料には上限金額があって、多くの場合その上限の金額で設定されるんだ。今回の場合も、仲介手数料の上限金額に設定されているってことだね。手数料の計算は、決まりでは下の図のようになっているんだ(平成28年5月現在)」
売買価格(税抜)
①200万円以下 …仲介手数料5%(消費税込み5.4%)
②200万円超 400万円以下 …仲介手数料4%(消費税込み4.32%)
①400万円超 …仲介手数料3%(消費税込み3.24%)
(※ 2014年4月1日施行)
スマ「この仲介手数料は国が上限を決めていて、これから下げることは出来てもこれ以上手数料をもらう事は禁止されてるんだよ」
マイ「なるほどー、ちゃんと計算式があるんだね。でもちょっとややこしいって言うか…僕の頭では3日くらいかかりそうだね」
スマ「そんなマイの為に、売買価格が400万円(税抜)を超える物件の仲介手数料の算出は簡単な式に置き換える事ができるんだ。それがこれだよ」
仲介手数料(税抜)=売買価格の3%+6万円
仲介手数料(税込)=売買価格の3.24%+6.48万円
マイ「簡単になった!これなら計算が2日で済みそう!」
スマ「それでも2日かかるんだ…。じゃあそんなマイの為に、参考までに仲介手数料を計算して早見表を作ってみたよ」
売買金額(税抜) | 計算式※仲介手数料税抜の場合 | 仲介手数料(税抜) | 仲介手数料(税込) |
100万円 | 100万円×5% | 50,000 | 54,000 |
200万円 | 200万円×5% | 100,000 | 108,000 |
300万円 | 300万円×4%+2万円 | 140,000 | 151,200 |
400万円 | 400万円×3%+6万円 | 180,000 | 194,400 |
500万円 | 500万円×3%+6万円 | 210,000 | 226,800 |
1000万円 | 1000万円×3%+6万円 | 360,000 | 388,800 |
2000万円 | 2000万円×3%+6万円 | 660,000 | 712,800 |
3000万円 | 3000万円×3%+6万円 | 960,000 | 1,036,800 |
4000万円 | 4000万円×3%+6万円 | 1,260,000 | 1,360,800 |
5000万円 | 5000万円×3%+6万円 | 1,560,000 | 1,684,800 |
1億円 | 1億円×3%+6万円 | 3,060,000 | 3,304,800 |
2億円 | 2億円×3%+6万円 | 6,060,000 | 6,544,800 |
スマ「所でマイが買った物件の4,000万円って金額は、税込価格?」
マイ「ううん、税抜だよ。だから136万円って手数料は正しいみたいだね」
スマ「だったら良かった。もしそれが税込金額で、土地代と建物代に別れているんだったら、仲介手数料の計算は少しややこしくなるんだ」
マイ「どういうこと?」
スマ「たとえば税込4000万円の物件があって、その中の土地代が2100万円、建物代が1900万円だった場合、税抜の価格はいくらになると思う?」
マイ「それは単純に、税込4000万円の中から消費税の8%を引いた金額だから…えっと、えっと…うーんと」
スマ「4000万円÷8%で3703万円って言いたいの?」
マイ「そう、それ!(わかんないけど)」
スマ「普通はそうなるんだけど、実は落とし穴があって、”土地には消費税がかからない(非課税)”なんだ。だから、次のようになるんだよ」
税込4000万円(土地2100万円+建物1900万円)
↓
税抜3859万円(土地2100万円+建物1900万円÷8%)
スマ「仲介手数料は税抜の価格を元に計算されるから、単純に税込金額から8%を引いただけでは金額が変わってしまうから注意だね!」
マイ「あっ、ふーん…そうなんだ。すごいね」
スマ「考える事を放棄したか…」
マイ「そう言えばスマ、他の物件に”仲介手数料無料物件”って書かれてたんだけど…その時は気付かなかったけど、そんな物件ってあるんだね。仲介料が不動産会社の収入源なんだったら、それを無料にしたら不動産会社はタダ働きになってしまうんじゃないの?」
スマ「仲介料無料物件の事だね、最近よく見かける様になったよね。マイの言う通り、仲介手数料は不動産会社の大事な収入だから、仲介手数料が無くなると不動産会社にお金が入ってこなくなるね」
マイ「じゃあやっぱりタダ働き?」
スマ「仲介料無料と言っても、片手からはきっちりもらってるケースがあるから一概にタダ働きとは言えないかもね」
マイ「片手って…売主か買主かのどっちかって事だっけ?」
スマ「そう、例えば売主か買主のどちらかが法人でどちらかが個人だった場合などに、個人に対しては手数料を取らずに法人からだけとったりする場合もあるんだ」
マイ「じゃあその時に、法人は仲介手数料を個人の分も合わせて倍の金額取られるってこと?」
スマ「ううん、ちゃんと仲介手数料の上限は決まっているから、基本的に片手からの仲介手数料は両手の場合の半分となってしまうんだ」
マイ「そうなんだ…でも、仲介手数料は安いに越したことないから助かるね!」
スマ「消費者にとってはそうかもしれないね。でも不動産会社だって、なにもしないで物件を売っている訳じゃないんだよ。消費者の目に留まるように広告を打ったり、面倒な書類の作成や手続きを行ったり、相談に乗ったりフォローしたり…とにかく素人では大変な業務を代行しているんだよ。会社を存続させて従業員を養っていかなきゃいけないしね」
マイ「そっかぁ、確かに仲介手数料が無料だと、商売として成り立たなくなるね」
スマ「仲介手数料を無料にしている所は、人員を最小限にしたり、広告を打たなかったり、家賃を節約したり、通常かかっているコスト削減をしてようやく成り立つ所も多いんだ。消費者は手数料が安ければ安い方が良いからと言って、手数料の価格競争になってしまうと不動産会社にとって良い事ではないし、消費者も適切なサービスが受けられなくなる可能性も出てくるんだよ」
マイ「やってもらった仕事に見合った、適切な対価を支払う事が大切なんだね」
スマ「マイ、たまにはいいこと言うね!」
スマ「と言うわけで、仲介手数料についてわかってもらえたかな?」
マイ「うん、お陰様で理解できたよ!計算の部分以外!」
スマ「…まあいいや。計算はわかる人にやってもらってね。ところでマイが買った4000万円の物件ってどんなの?」
マイ「ふふふ…これだよ!」
スマ「・・・・・・」
マイスマで学ぶ仲介手数料、いかがでしたか?
仲介手数料の仕組みについて理解し、適切な金額を払っていきたいですね。
執筆:マイスマ制作チーム