「税金のことは苦手」そういう方は非常に多いようです。でもマイホーム購入となると税金も高額ですから、この機会に税金についておさらいしてみましょう。2回目の今回のテーマは「贈与税」です。
マイホーム購入は人生の一大イベント。動くお金も大きいので、しっかり節税して、有意義にお金を使いたいですね。
前回は住宅ローン控除(ローン減税)についてお伝えしました。漠然と「ローンを組んで住宅を買ったら何か優遇あるよね」という認識だった方にも、さらに理解を深めていただけたのではないでしょうか。→前回の記事はこちら
2回目の今回は「贈与税」についてお伝えします。
一生に一度の大きな買い物である住宅。自己資金だけではまかないきれず、両親や祖父母から援助を受けると言う方も多いのではないでしょうか?
この機会に贈与税に関わる特例をしっかり理解して、最大限に利用したいですね。
援助の申し出は素直に受け入れて、甘えてしまいましょう!「新居にいつでも泊まりに来てね」親御さんも、案外そんな言葉を待っているかもしれませんよ。
暦年課税制度と相続時精算課税制度
一般的に、一人の人が1年間に受ける贈与のうち、基礎控除額の110万円までは贈与税はかかりません。これを暦年課税と言います。
基礎控除の110万円を「超えた」金額分が課税対象となります。
例えば500万円の贈与を受けた場合、500万円-110万円=390万円に対する課税額は48.5万円。
1000万円の贈与を受けた場合は1000万円-110万円=890万円に対して課税され、その額はなんと117万円です。
117万円以上も徴収されてしまうなんて、驚きですよね。
このほかに「相続時精算課税制度」というものがあります。
満60歳以上の親や祖父母から20歳以上の子供や孫(贈与を受けた年の1月1日において20歳以上)に対する贈与については、2500万円の限度額までが非課税となりました。相続人は直系卑属であれば、代襲相続人や養子、認知されていれば非嫡出子も利用可能です。
複数年に分けて贈与した場合、その合計額が2500万円まで非課税であり、この額に達するまでは年度をまたがっていても問題ありません。
ただし、相続時精算課税制度を利用すると、それ以降は暦年課税制度と併用はできません。また、非課税の2500万円分は「贈与時」には課税されず「相続時」に相続財産に加算され、相続税で精算されます。
相続税を収める必要がある家族にとっては、必ずしも有効ではない場合もあるため、しっかりとシュミレーションしたいものですね。
代襲相続ではない孫は20%の相続税が加算されるため、暦年課税を利用して毎年110万円の範囲でコツコツと贈与を受ける方が得な場合もあるので、後悔することのないよう、事前に損益分岐点を検証しましょう。
住宅購入時の特例「住宅資金贈与特例」
住宅購入にあたって両親や祖父母から資金援助を受ける場合には700万円までが非課税となる特例があります。
暦年課税制度による110万円の基礎控除額と併用すると合計810万円までは非課税で援助してもらうことができます。
相続時精算課税制度と併用すると合計3200万円まで非課税で援助を受けられます。
先ほどもお伝えした通り、暦年課税制度または相続時精算課税制度の一方しか利用できないため、援助を受けて住宅を購入する場合は、税制面の優遇によるメリットをしっかりと検証しておきたいですね。
住宅取得時の贈与税非課税の主な適用条件って?
○贈与時に日本国内に住所を有していること
○親または祖父母からの贈与であること(直系卑属)
○贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であること
○贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下であること
○贈与年の翌年3月15日までにを住宅取得等資金の全額を当てて住居を取得すること
○贈与年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること(また遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること)
※以上は抜粋です。その他、家屋に関する条件、税の計算式や税率、諸要件などの詳細は国税庁または国交省のサイトをご覧ください。
複数の制度を組み合わせる場合、メリットも多くなりますが、確定申告の際の必要書類も多くなり、手続きも複雑です。
また、先ほど述べたように、どの優遇措置が最適化なのかはケースバイケースとなりますから、自分で断するのが難しい場合は、自治体の窓口や税理士さんに相談することをおススメします。
自治体によっては確定申告近くなると税務相談室などを開設するところもあります。必ず広報誌などで告知があるので、こういった無料の相談をうまく利用したいですね。
(次回「制度その3」につづく)
執筆:マイスマwoman's LABO 編集部