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事故物件についてどれだけ理解してますか?

隣の部屋が事故物件の場合に説明してもらえるの?一回借り手が見つかると次からは説明義務がないって本当?後から事故物件だと分かった場合の対処法は?知らないと損をしてしまうのはあなた。今のうちに事故物件の知識・関わり方を身に着けておきましょう。

考える女性

まず「事故物件」という用語に明確な定義はありません。ご存知ない方も多いのでは。

広い意味では、住宅ローンの破綻や所有会社の倒産などの金融事故とか、地震による損傷や雨漏り、シロアリ被害などの環境的問題がある物件に対しても使われます。

一方で不動産取引においては一般的に自殺や他殺、焼死、不審死、事故死など人の死亡にかかわる事件や事故があった建物のことを指します。気になるのはこちらですね。

このような物件は「心理的瑕疵物件」とも呼ばれます。

じゃあ事故物件(心理的瑕疵物件)を見つけるにはどうしたらいいの?

まずは不動産情報サイトで検索するのがいいと思います。「瑕疵あり」「事故」などのワードで検索すれば一覧でぱぱっと出てきますね。

また、事故物件の専門サイトで見つける方法もあります。テレビでも話題の「大島てる」という事故物件の情報サイトでは、誰でも事故物件の投稿ができるような仕組みになっていて、公表されていないものも含めて探すことができるので重宝します。地図から探すので、とても簡単に見つかりますよ。ただ、誰でも投稿できるのでいまいち信用できない所もあります。なので最終的には不動産屋さんかオーナーに直接聞くのがいいと思います。

といっても不動産屋さんやオーナーは教えてくれないんじゃないの?

問題はそこですね。もちろん不動産屋さんは契約を取りたいし、オーナーは空き物件が出るのを嫌います。なるべくなら説明したくないものです。ですが、幸いなことに法的に重要事項説明として伝えなければならないラインが存在します。これは知っておいた方がいいですよ。

まず重要事項説明とは、契約前に不動産屋さんやオーナーが購入者・賃借人に対して行うものです。その際に説明すべき内容が、宅地建物取引業法35条に定められているというわけです。

分かりやすいように過去の裁判の事例を2つ紹介します。

マンションを単体(マンション全部)で売買した事例について,平成20年4月28日に言い渡された東京地方裁判所の判決(平成17年(ワ)第20687号売買代金等返還請求事件)です。

マンションの一室から飛び降り自殺があったことを買主に説明しないまま通常の価格で売却したのですが,売買後にこの事実を知った買主が売主に対し,売買契約の解除と損害賠償を求めて訴訟を提起しました。もっとも,この事件では,買主は契約解除を撤回して,損害賠償のみを求めています。

この裁判では,裁判所は,売主には,売却対象マンションで自殺があった事実を買主に説明告知する義務があることを明確に認定しました。そのうえで,通常の売買代金額と事故物件として考えられる売買代金との差額,事故物件を入手させられたことに対する精神的苦痛などを考慮し,慰謝料名目で2500万円の損害賠償を認定しました。この訴訟で買主が契約解除の主張を撤回したのは,買主としてすでにマンションを占有し,他に賃貸したりしており,解除することによる原状回復を回避する選択をしたためです。従って,法律的に説明義務違反による解除が否定されたわけではありません。

重要事項説明をしなかったために事故物件とした場合の適正価格との差額分と精神的苦痛を含めた損害賠償が認められた事例ですね。次は賃貸の事例です。

貸室の賃借人が貸室内で自殺したことにより,爾後,貸室を賃貸できなくなったとして,賃貸人が賃借人の連帯保証人に対して得べかりし賃料相当の損害賠償を求めた事例について,平成19年8月10日に言い渡された東京地方裁判所の判決(平成19年(ワ)第4855号損害賠償請求事件)です。

この裁判では,裁判所は,自殺は賃貸人に対する善良なる管理者としての使用収益義務違反行為であるとしたうえで,自殺後3年分の賃料相当損害金の支払いを命じたのです。これを賃借人の立場から捉え直すと,自殺の事実を告げられないまま通常の賃料で賃借させられた場合,自殺による減額分について,不当利得として貸主に返還請求するという法律構成が考えられます。

この判決において裁判所は

「一般に,飛び降り自殺があった物件であることは,これを購入しようとする者,賃借しようとする者に主観的な忌避感を生じさせるおそれがある事実であり,・・・飛び降り自殺があった物件であることは,客観的にも経済的不利益を生ずる可能性がある。したがって,不動産を販売する不動産業者としては,販売の相手方の購入意思決定に影響を及ぼすべき本件事故の事情を認識している以上,販売の相手方に対し,当該情報を提供する義務があるというべきである。・・・また,自殺事故による忌避感は,それ自体としては主観的要素に基づくものであるから,性質上,時間の経過により薄まっていくことは首肯し得るものの,本件売買契約当時,本件死亡事故からは未だ2年間を経過したにすぎないから,被告の告知,説明義務を消滅させるには至らない。」ときめ細かな認定をしました。

そして,東京都の所轄部署においては,「自殺のあった物件を賃貸する場合は3年間,売却する場合は5年間,告知,説明の義務があると指導していること」も判決に引用しています。

ここで重要なのは法的には告知、説明の義務の期間は明確に定まっていないということですね。それよりももっと重要なことを裁判所は以下のように認めています。

しかし,自殺事故による嫌悪感も,もともと時の経過により希釈する類のものであると考えられることに加え,一般的に,自殺事故の後に新たな賃借人が居住をすれば,当該賃借人が極短期間で退去したといった特段の事情がない限り,新たな居住者である当該賃借人が当該物件で一定期間生活をすること自体により,その前の賃借人が自殺したという心理的な嫌悪感の影響もかなりの程度薄れるものと考えられる。

これは意外と知らなかった方も多いのでは。自殺後に1回でも新たな賃借人を介せば、心理的嫌悪感が激減すると裁判所が認めているんですね。賃貸人は自殺後3年未満の物件であっても2回目以降は告知しなくても咎められる心配はほぼないということになります。

なので、自殺物件は絶対に住みたくないという方は直接「自殺の有無」を聞いてください。そして、回答内容を証拠として書面化しておくなどの対策が必要です。特に売買の場合は近隣の聞き込みも併せて行った方がいいでしょう。

とにかく契約を締結した後で事故物件に気付いた場合、大変なことは間違いないです。裁判にも費用が掛かりますし弁護士も付けたりと、それだけで疲弊してしまいそうですね。

弁護士であり不動産鑑定士の資格を持つ安藤晃一郎氏の見解

もっとも重要な判断基準となるのは、『それを説明していれば、部屋を借りなかった』と考えられるかどうか。もし『借りなかった』と司法が判断すれば、損害賠償をしなければなりません

説明義務が生じるのは事故が発生した居室のみとされており、隣室や階下の部屋については説明義務がないとされています。とはいえ、あまりに凄惨な事件だった場合などは、隣室でも説明しておいた方がいいケースも出てきます。これも結局は、『その情報を知っていれば、契約しなかった』と考えられるかどうか。隣室の事故でも、住みたくない人は当然いるでしょうから

孤独死は、多くの場合で亡くなった後に放置されている期間があります。そのため、ニオイや衛生面など、部屋への影響が考えられます。そのことからも、自殺や殺人などと同様の扱いになると考えてよいでしょう。もちろん説明すべき事項です

近年増えてきた孤独死だけでなく、自殺や殺人についても、明確な基準がないのが現状。その中で裁判が行われているため、説明責任の発生するラインは非常にあいまいなんです。その結果、病死や事故物件の隣室などについても、安全策を取って説明するケースがあるんですね

まとめ

いかがでしたか、意外と事故物件について知らないこともあったのではないでしょうか?被害に合わないためにも正しく理解して事前に備えることが大事です。

(参考)

弁護士が教える「事故物件を回避する3つの方法」
事故物件の「重要事項説明」はいつまでするべきなのか?

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