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契約の前から退去の後まで! 賃貸物件とのつきあい方の流れ

賃貸住宅を借りるとなると、契約から住んでいる途中、さらには解約・退去の時まで、いろいろとやるべきことが発生してきます。そのようなものごとの流れを時系列で整理してみました。

賃貸物件を借りるということは、貸主と契約を結ぶということです。とはいえ、厳密に言えば、普段スーパーやコンビニで物を買うのも立派な契約ではあります。ただ、売買は一回こっきりなのに対して、家を借りるとなるとずっと継続するということで、かなり話が違ってきます。

今回は、そのような賃貸物件の契約から住んでいる途中、解約から退去に至るまで、何をすべきなのかについてまとめてみます。

契約締結まで

社宅や親戚間のように特別な関係がある場合や、URの賃貸住宅のように貸主が自ら契約を結ぶ場合など例外はありますが、小規模な大家さんが自分で契約者を探してくるのも現実的ではないので、ふつうは不動産会社を挟んで探すこととなります。多くは「仲介」として、貸主と借主が契約するのをお手伝いする、という立場にいます。

重要事項説明

不動産会社が賃貸の仲介をする場合、契約する前に、宅地建物取引士による「重要事項説明」が義務付けられています。

宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。

宅地建物取引業法 第35条

「次に掲げる事項」として14項目がありますが、賃貸にまつわるもの、なおかつ重要なものだけピックアップしてみます。

契約締結

重要事項説明が終われば、次は契約です。多くの内容は重要事項説明と重複していますが、月々の家賃の支払い方法は契約書にしかないのでよく確認しておきましょう。

契約期間中

日頃の生活について

借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。

民法 第594条第1項(賃貸借について第616条で準用)

契約にともなって使えるものである以上、契約を守って使うのは当然の話ですが、さらには借り主一般として求められる、法律用語で言えば「善良な管理者の注意義務」というものがあります。たとえば掃除をしなくて汚れが染み付いてしまった、結露を放置したためにカビが生えてしまったなど、入居者がきちんとしていなかったために発生した損傷については、借り主が原状回復をする必要があります。

生活中に発生したトラブルについて

賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない。ただし、賃貸人が既にこれを知っているときは、この限りでない。

民法 第615条

賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。

民法 第606条

例えば「ガス栓が開かない」とか「屋根から雨漏りがしている」など、借りた家の使用に支障するようなことがあれば、大家さん、あるいは管理会社へと連絡することになります。そして、借主側の責任でない問題(自然に劣化した、台風で壊れた)であれば、一般には大家さん側の負担となります。ただし、契約で取り決めがあればそのとおりになります(実際、壁紙やふすま、畳表のような消耗品については、借主側で適宜修繕することになっていることも多いです)。

物件が売却された場合

建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。

借地借家法 第31条

賃貸契約は貸主と借主の契約で成り立っていますが、その貸主が別な人に物件を売り払ってしまった場合はどうなるのでしょうか。民法上の原則では、「売買は賃貸借を破る」となっていますが、それでは「気に入らない借り主を追い出すために売却する」ということが可能となるなど、借り主の立場が不安定となってしまいますので、別途で「借地借家法」という法律が定められていて、借り主を保護する内容となっています。

具体的には、実際に建物の引き渡しを受けて生活している場合、入居後にその物件が譲渡されたとしても、敷金を含めて契約がそのまま引き継がれ、借り主として賃貸契約を続けることができます。

ただし、上の条文に「その後」と入っているように、建物を借りた時点で抵当権が付いていた場合、その抵当権には対抗できません(競落した人が「出て行け」といえば出て行かないといけません)。もっとも、いきなりでは準備もできないので、6ヶ月は猶予してもらえることになっています(民法395条)。

契約期限が終わった場合には

建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知(編集部注:更新しない旨の通知)又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

借地借家法 第31条

ふつう家を借りる契約では、1年なり2年なりの期間が定められて、それを更新するという形となっていることも多いです。地域・物件によっては、更新の際に「更新料」という金銭を支払う必要があることもあります。

では、貸主が「更新しない」と言った場合はどうなるのでしょうか。実は、ふつうの借家の場合、「耐震上問題がある、あるいは道路の敷地にかかるので建物を取り壊す」とか「家賃をずっと滞納している、あるいは生活がデタラメで近隣住民に迷惑をかけている」など、よほどな理由はない限り貸主からの「更新しない」という通知は効力をなしません。さらに、契約が切れてしまっても、「法定更新」といって、「家賃などは同じ条件で、期限のない」契約に更新したものとみなされます。

もっとも、大家さんが「更新しない」というような状況の中で、ギクシャクしたまま住み続けるのも居心地は良くないでしょうし、条件交渉で立ち退き料をもらって引っ越す、というのももちろん選択肢としてありです。

なお、「定期借家権」という制度もあって、こちらでは契約期間が切れればそれまでで、自動更新などがありません。もちろん両者の意向次第では再契約することも可能ではあります。定期借家権の場合、重要事項説明より前に「期限切れで更新がない」旨を書面で通知する必要があります(なければ通常の借家権扱いになります)。

解約から退去まで

解約を申し出るタイミング

賃貸契約は「○年間」というように期間が決まっていますが、たいていの契約だと「借りる側から契約を解除する場合には□ヶ月前までに申し出る」というような旨が入っています。もし急に出て行くことになっても、最低限その期間分の家賃は支払う必要があります。万が一、そうした旨が入っていなかった場合、「契約は契約」ということで、期限満了までの家賃が発生してしまうことがあります(とはいえ、現実問題として転勤のようなやむを得ない事情が発生した場合、大家さんと相談してなんとかしてもらえるとは思いますが)。

法定更新後などのように、契約期間の定めがなかった場合、民法第617条第2項に従って、申し入れから3ヶ月後で契約が終了します。

なお、定期借家権の場合は、借主側からの途中解約も「転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情」で引っ越さざるをえない場合に限られて、そして申し入れから1ヶ月で終了することとなります(借地借家法 第38条第5項)。

原状回復(東京ルール)

賃貸の家を明け渡したあとは、(取り壊すのでないかぎり)誰かが住むこととなります。ということで、大家さんは部屋の清掃や、時にはリニューアルをすることが必要となります。とはいえ、仮に使わなくてもものは自然劣化するものですし、人が暮らす以上はどれだけ注意していても損耗していくものです。

この「原状回復」に関してトラブルが絶えなかったので、東京都が賃貸紛争防止条例を制定していて、その中で「トラブル防止ガイドライン」を策定しています。賃貸業界では「東京ルール」と呼ばれるようになり、東京都以外でも参考にされることがあります。

東京ルールでは、借家の損耗を「経年劣化」「通常損耗」「借主責任」の3つに区分しています。たとえば、畳が日に焼けるのは誰もいなくても起きる「経年劣化」ですし、テレビや冷蔵庫に接した壁が電気やけしてしまうのも、通常の使用で避けられない「通常損耗」となり、これらは大家さんが負担すべきものです。また、次の入居者を迎えるために行う鍵の交換なども、前の借り主に責任があるわけではないので、大家さんの負担です。

一方、「タバコのヤニがきつくて取れない」とか「ペットが床に傷をつけてしまった」、「レンジ周りの汚れがこびりついて取れない」など、借り主の使い方が悪いために発生した損耗については借主負担となります。

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